平成15年度 講演会 | ||
カビを用いた室内環境の調査「カビ指数による環境評価」 環境生物学研究所 所長 農学博士 阿部惠子 氏 |
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る | ||
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6. カビ指数とダニアレルゲン |
6-1.カビ指数調査 |
湿気は、ダニの繁殖を促すことが知られています。この調査の目的は、住居内でのダニの繁殖が、カビ指数調査から推定できるかどうかを調べることです。 調査住宅は16軒です。 カビ指数は、それぞれの住宅の、北側の部屋の床面(この箇所は住居内ではカビ指数の高くなりやすい箇所です)、押入の隅、そして、その押入に収納している冬用の掛け布団のあいだ、の3カ所で調査しました。 調査時期は夏で、カビセンサーの設置期間は8週間としました。 |
6-2.ダニアレルゲン調査 |
ダニアレルゲン濃度は、押入に収納している冬用の掛け布団の表面塵で調査しました。調査布団はカビ指数調査のためカビセンサーを挟み込んだ布団です。 カビセンサー設置時と回収時の2回、布団表面塵を掃除機で集め、塵1g当たりのDer1(ダニ糞由来のアレルゲン)とDer2(ダニ虫体由来のアレルゲン)濃度をエライザ法で測定しました。 1回目(カビセンサー設置時)より2回目(カビセンサー回収時)のほうがダニアレルゲン濃度が高くなっていれば、カビセンサー設置期間中に布団表面でダニが繁殖したと推定できます。 |
6-3.北室床面カビ指数0.9未満 |
化学物質過敏症患者用療養住宅で、新築時に各居室で測定した化学物質の濃度です。 代表的な化学物質だけを示します。指針値は厚生労働省が示す基準値でこの値以下であれば良しとする値です。 何れの部屋でも全ての化学物質の濃度は指針値より何桁か低い値で、室内空気中の化学物質濃度に関しては非常に良い環境になっていました。 |
6-4.北室床面カビ指数2以上3未満 |
表は、北側の部屋の床面でカビ指数2〜3が検出された住宅での、カビ指数とダニアレルゲンDer1濃度です。 北側の床面でカビ指数3未満の住宅では、収納ふとんでカビ指数は検出されませんでした。 このような住宅の収納布団でも、Der1濃度は減少していました。。 |
6-5.北室床面カビ指数4以上 |
表は北側の部屋の床面でカビ指数4以上が検出された住宅の、カビ指数とダニアレルゲンDer1濃度です。 北側の部屋の床面でカビ指数4以上が検出された住宅は、何れの住宅でも押入と収納布団でカビ指数が検出されました。 収納布団のダニアレルゲンDer1濃度は、何れの住宅でもで増加していました。 ダスト1g当たりのダニアレルゲン量が10μgを超えると喘息発作の危険性があると言われています。この表の住宅の収納布団は、夏の終わりには全て喘息発作の危険性がある布団になっていました。 |
6-6. カビ指数とダニアレルゲンDer1 |
北側室床面のカビ指数と収納布団表面塵中のダニアレルゲンDer1濃度変化の関係です。Der1はダニ糞由来のアレルゲンです。 横軸は北側寝室床面のカビ指数です。住宅全体が湿っている場合には、値が高くなります。住宅に湿気が多いか少ないかの判断材料です。 縦軸はDer1増加率です。Der1増加率は、カビセンサー回収時のDer1濃度からカビセンサー設置時のDer1濃度を引いた値を、カビセンサー設置時のDer1濃度で割った値です。カビセンサーを布団の間に挟みこんでいた期間中にDer1が増えていれば、プラス、減っていればマイナスの値になります。 北側寝室床面でカビ指数4を超えた住宅では、収納布団でDer1濃度が増加し、カビ指数3未満の住宅ではDer1濃度が減少していました。 |
6-7. カビ指数とダニアレルゲンDer2 |
北側室床面のカビ指数と収納布団表面塵中のダニアレルゲンDer2濃度変化の関係です。 Der2はダニ虫体由来のアレルゲンです。 Der1と同様に、北側寝室床面でカビ指数4を超えた住宅では、収納布団でDer2濃度が増加し、カビ指数3未満の住宅ではDer2濃度が減少する傾向がありました。 北側室床面でカビ指数4以上の住宅の中に、Der2が減少した住宅がありましたが、Der2はダニの虫体のほうですので、カビセンサーを取り外した時期に布団が乾いており、布団からダニが逃げ出していた可能性があります。 |
6-8.カビ指数とダニアレルゲン調査から |
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る | ||
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