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資料室  平成15年度 講演会
カビを用いた室内環境の調査「カビ指数による環境評価」
環境生物学研究所 所長 農学博士 阿部惠子 氏
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る
このページの内容・図版等の無断使用はおやめください。お問い合わせは、環境生物学研究所へお願いします→http://www.kamakuranet.ne.jp/~kabi/Japanese/index.html)

3. 定常環境におけるカビ指数

3-1.温室
3-1.温室
定常環境とは、一定の温度で一定の相対湿度の環境のことです。図は、定常環境を作るための湿室を、上から見たところと横から見たところです。
9cmのプラスチックシャーレに、小型の容器を入れ、その容器内外に、塩の結晶とその飽和溶液を入れ、ふたの周囲をビニールテープでシールします。内部空間の湿度は、塩の種類によって決まります。例えば、硝酸カリウムであれば、25℃では相対湿度93.6%になります。
シャーレ湿室内の小型容器の上にプラスチックのネットを置き、その上にカビセンサーを載せ、湿室ごとインキュベーターに入れ、培養期間を変えてカビ指数を調査しました。
通常の室内用カビセンサーは、菌糸長2000μmが計測上限で、高湿度環境に1週間設置すると、菌糸が伸びすぎて測定できなくなります。そこで、菌糸長が7000μmまで測定できるカビセンサーを作りました。

3-2.基準気候におけるセンサー菌の菌糸長
3-2.基準気候におけるセンサー菌の菌糸長
3種類のセンサー菌それぞれで菌糸長が7000μmまで測定できるカビセンサーを作り、色々な定常環境に曝露し、曝露期間が異なる場合の菌糸長を調べ、カビ指数を計算しました。
基準気候(温度25℃、相対湿度93.6%)を例に、定常環境のカビ指数について説明いたします。
基準気候での曝露期間と各センサー菌の菌糸長との関係を図に示します。3回の実験の平均値で、横軸が曝露期間(培養期間)、縦軸が菌糸長です。
何れのカビも、培養開始後してしばらくたって発芽し、そのあとは、ほぼ直線的に菌糸が伸びます。 この調査環境ではユーロチウムの菌糸が最も早く発育します。

3-3.基準気候におけるセンサー菌の応答
3-3.基準気候におけるセンサー菌の応答
前の図に示したユーロチウムの菌糸長を、応答(ru)に変換したものです。
定常環境では、応答は曝露期間に正比例します。

3-4.基準気候で測定したカビ指数
3-4.基準気候で測定したカビ指数
前図の各曝露期間の応答から、カビ指数を計算しました。
点線がカビ指数168です。定常環境では曝露期間にかかわらず、カビ指数は一定の値になります。

3-5.定常環境のカビ指数-2〜7日
3-5.定常環境のカビ指数-2〜7日
図は、温度25℃で相対湿度74%から94%の範囲の定常環境のカビ指数です。縦軸がカビ指数、横軸が相対湿度です。
この範囲の環境では3種類のセンサー菌のなかでユーロチウムが一番よく育つ(菌糸が一番長くなる)ので、カビ指数はユーロチウムの応答を用いて測定しました。
相対湿度75%付近でカビ指数8、相対湿度94%付近でカビ指数が約180です。相対湿度が高い環境ほど、カビ指数も高くなりました。

3-6.定常環境のカビ指数-14〜128日
3-6.定常環境のカビ指数-14〜128日
温度25℃で、相対湿度75%以下の定常環境のカビ指数です。
相対湿度73%以上では、ユーロチウムが一番良く育ちました。
相対湿度73%付近でユーロチウムとアスペルギルスは同じ程度の発育で、カビ指数4が得られました。
相対湿度73%未満では、アスペルギルスのほうが良く育つので、カビ指数はアスペルギルを用いて測定しました。
曝露期間16週間(128日)で、相対湿度68%までカビ指数が検出できました。
この湿度環境でも相対湿度が高いほどカビ指数が高くなります。
住宅であれば、湿気が多いほどカビ指数が高い値になるということがご理解いただけるかと思います。

3-7.定常環境のカビ指数-24時間
3-7.定常環境のカビ指数-24時間
温度25℃で、相対湿度93%以上の定常環境のカビ指数です。
相対湿度95%以下の定常環境では、好乾性カビのほうが良く育ちました。
相対湿度95%〜96%あたりでユーロチウム(好乾性カビ)とアルタナリア(好湿性カビ)は同じ程度に発育し、カビ指数は約180でした。
相対湿度96%以上では、アルタナリアのほうが良く育つので、カビ指数はアルタナリアを使って測定しました。
この湿度環境でも相対湿度が高いほどカビ指数が高くなりました。

3-8.まとめ
3-8.まとめ

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