平成15年度 講演会 | ||
カビを用いた室内環境の調査「カビ指数による環境評価」 環境生物学研究所 所長 農学博士 阿部惠子 氏 |
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る | ||
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1. はじめに |
1-1.はじめに | |
湿気は住宅内部でのカビやダニの発育を促します。住宅がカビやダニによって汚染されると、住んでいる人がカビアレルギーやダニアレルギーを起こす場合があり、健康には好ましいことではありません。 住宅内が湿っているかどうか知ることができれば、対策を立てることができます。 そこで、生きているカビそのものを環境のセンサーに利用して環境を評価する「カビ指数」を開発しました。 この発表の目的は、「カビ指数」を皆様にご紹介することです。さらに、実際の住宅でカビ指数を調査しましたので、併せてご報告いたします。 では、本題に入る前に、環境とカビの関係について先にお話し致します。 |
1-2.カビの発育する条件 |
カビが発育するためには、「環境」(栄養分、酸素、温度、水分)と、「時間」が必要です。 環境の各条件が満たされた状態が長時間続くと、カビの胞子は発芽して菌糸を伸ばし、菌糸上に新しい胞子ができます。 環境条件が満たされた状態になっても、一時的で、すぐに途切れてしまうとカビは発育できません。 次に、環境の各条件について述べます。 |
1-3.カビの栄養分 |
環境条件 1.栄養分 住宅の中はカビの栄養分になるものが満ち溢れています。有機物でできている建材はカビの栄養分ですし、食品や石鹸かすなどは栄養分が豊かで、カビにとっては利用しやすい有機物です。 環境条件 2.酸素 カビの発育には酸素が必要ですが、人の住む所には必ず酸素はあります。 |
1-4.微生物の生育温度 |
環境条件 3. 温度 カビは中温菌です。最適温度が20〜40℃で生育温度は0℃から45℃の範囲です。 カビの発育できる温度は人の生活温度と一致しています。 |
1-5.発育に必要な相対湿度の下限値 |
環境条件 4.水分 人は水を飲みに移動しますが、カビは水を飲みに移動できません。水の無いところで育つカビは、周囲の空気から水分を取り込んでいます。そのため、空気中の水分環境はカビの発育に大きく影響します。 水分の利用能力からカビを分けると図のようになります。図はカビが発育できる相対湿度の下限値を示します。 アルタナリアやリゾープスなどの好湿性カビは相対湿度90%以上の環境で発育し、アスペルギルスやペニシリウムなどの中湿性カビは相対湿度80%以上の環境で発育します。これらのカビは相対湿度100%付近まで発育可能です。 好乾性カビが最も低い相対湿度で発育できるカビで、ユーロチウムやワレミアなどが含まれます。好乾性カビは相対湿度70%弱の環境まで発育できますが、相対湿度100%付近では全く発育できません。 |
1-6.湿り空気線図 |
「湿り空気線図」は、空気が元々持っている性質を示すものです。横軸は温度、縦軸は絶対湿度(乾燥空気1kgあたりに含まれる水分量)、斜めに走っている線が相対湿度(空気中の水分が飽和状態のときに比べてどれくらい含まれているかをパーセントで示すもの)です。 空気は温度が高くなるほど含みうる水分の量が多くなります。そのため空気の温度が上がると相対湿度が低下し、空気の温度が下がると相対湿度が上昇します。例えば20℃で相対湿度70%の空気は、温度が14℃に下がれば相対湿度100%、25℃に上がれば相対湿度50%になります。 相対湿度の高い環境はカビが発育しやすい環境です。絶対湿度が一定の室内では、温度が低い箇所ほど相対湿度は高くなります。冷えている箇所ほどカビが発育しやすい環境です。 |
1-7.カビと環境 |
カビの胞子は、私たちの身の回りのどこにでもあります。住宅内でカビ汚染が起こるかどうかは、住宅内の環境が決めています。 カビが発育できる環境を保っている箇所があれば、そこでカビの胞子は発芽して菌糸を伸ばし、菌糸上に新しい胞子が着生します。1個の胞子は何千個何万個の胞子に増えます。新しくできた胞子が周囲に飛び散り、再び発育すると、さらにカビが増えることになります。 カビが発育できない環境を保っている箇所では、1個の胞子はいつまでも1個のままで、増えることはありません。 |
1-8.カビ発育環境調査法 |
カビが育つ環境かどうかは、カビを使って調べるのが一番確実と考えました。 そこで、カビの発育から環境を表す方法として「カビ指数」を提案しました。 次に、カビ指数について説明いたします。 |
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る | ||
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